Sulafa
文化的な豊かさが魅力
パレスチナ刺繍
パレスチナ刺繍は「文明の十字路」と呼ばれたパレスチナの地域性もあり、世界のあらゆる方面から影響を受けています。花瓶や立体的な花の模様(a)は、20世紀にョーロッパから流入したものです。その模様のーつひとつには意味があり、それを見ただけでどの地域で作られたのかがわかる伝統工芸品です。また、女性たちの日常において、なじみのあるものをもとにした幾何学模様のパターンもたくさん。例えばガザの伝統的なモチーフである「目」(b)は、魔除けの意味が込められています。他にも胸あて部分にアクセサリーを下げたような逆三角形のモチーフ(c)は、ガザの伝統衣装の特徴。かつては花嫁自らが刺繍を施した花嫁衣裳を仕立てて、お嫁入りしていました。 祖母から母、母から娘へと代々受け継がれるパレスチナ刺繍は、パレスチナの女性にとってアイデンティティーそのもの。パレスチナ・アマルでは、みなさまに大切にお届けいたします。
The embroidery in Palestine is influenced by many countries of the world; it is rich culturally. It is a symbol of the identity for Palestinian women.
131種類の刺繍モチーフ
Sulafaには150種類の刺繍のモチーフがあります。そのうち、131個のモチーフをご紹介いたします。
こちらのモチーフ、ガザにあるSulafaショップの階段の踊り場の壁一面に掲げられているもの。上に掛けられていたビニールをあげさせて頂き、現地の写真家が一枚一枚撮影して下さいました。そのため、ビニールが少し映り込んでいるものもありますが、まるでSulafaショップで壁を見上げているような心もちに。
少し画像が重いですが、これは必見。どうぞご覧下さいませ。
※これらの刺繍のモチーフは国連パレスチナ刺繍プロジェクトSulafaによりデザイン及び工芸品としても大切な著作物として守られています。
300人のガザ難民女性が作り手
国連の刺繍プロジェクト「Sulafa」
「Sulafa」とは、1950年に立ち上げられた国連パレスチナ難民救済事業機関の刺繍プロジェクト。パレスチナ難民の女性たちに収入を得る機会を与えるだけでなく、刺繍の伝統と文化を維持し、次の世代にその物語と技術を継承する役割も担っています。刺繍作りを行うセンターには女性たちが集い、インストラクターによる指導も行われています。
作り手は、未亡人になったり、離婚したりと、社会的に弱い立場にある約300人のガザ難民女性。保守的なコミュニティのために家の外で働くことを許されない女性たちでも、自分で生計を立てられるようにサポートしています。失業率が極めて高いガザにありながら、一定の収入を得て、愛する子どもたちとより良い生活を築くことができるのです。パレスチナ・アマルでは、販売を通して、女性たちが自信と尊厳をもって人生を輝かせることができるよう、サポートを行ってまいります。
Sulafa is working within the UNITED NATIONS to help and support low income 300 Palestinian refugee women to earn their living and give them the chance to help their families.
刺繍づくりはわたしの誇り
作り手の物語
Fatheia Anberさん(66歳)は、26歳の時にレバノン戦争で夫を亡くしました。その後、Sulafaで働くことで、誰の助けを借りることもなく、ふたりの息子たちを大学に進学させることができました。彼女にとって刺繍作りは収入のためだけではなく、楽しみであり幸せにしてくれるもの。息子たちの仕事が安定していないため、今でもSulafaの仕事で家計を助けています。給料日にはすぐ市場に行き、必要なものを買いそろえるのだそう。刺繍の仕事は目を使うので、眼鏡を買い替える頻度も高いとのこと。
また、ある女性は「刺繍は、悲惨な現実から魔法の国へ私を連れて行ってくれるの。」と、刺繍作りをしているときまるで素晴らしい世界にいるかのように感じるのだそうです。
女性たちにとって、Sulafaは生きがい。刺繍とのつながりが、彼女たちの心の中にあります。社会的、文化的、伝統的な意味合いにおいても誇りを持って、高品質な刺繍作りを行っています。
The story of Fatheia Ander : “My work saves my dignity. I didn’t have to ask for people’s help to raise my children.” It is her pride to make embroidery.
Sulafaとは「高級な刺繍」を意味しています。Sulafaの刺繍製品は、その名の通り、完成度が高く美しいもの。クロスステッチと伝統的な色の組合せを用いることにより、パレスチナ刺繍の伝統を守っています。さらに、新しい色の組合せやパターン、生地とステッチを取り入れ商品開発にも力を入れています。
Sulafa means “high-quality embroidery” in Arabic. It not only maintains Palestinian traditions in its embroidery, but also emphasizes innovation.
「天井のない牢獄」GAZA
東地中海に面しているパレスチナ自治区ガザ。人口密度が高く、福岡市よりやや小さな土地に194万人もの人々が暮らしています。2007年からイスラエルによって完全封鎖されており、移動の自由もなく、劣悪な環境の中での生活を余儀なくされているため、”天井のない牢獄”と呼ばれています。
ガザは2006年以降、イスラエルから4回大きな攻撃を受けました。街は破壊され、生活も経済も破たんしており、若者の失業率は60%と世界最悪の水準に。(Palestinian Central Bureau of Statistics)
ライフラインもイスラエルにコントロールされており、電力不足で一日に3-4時間しか電気が使えません。日が落ちると刺繍づくりの生産性も落ちるため、Sulafaの女性たちの生活にも大きく影響を及ぼしています。
Gaza is called “a prison without the ceiling” It is completely blockaded, and the people live in poor environment because there is no freedom of movement.
完全封鎖されて10年。ガザに入域できるのは、国連関係者か、一部のNGO関係者か、許可を得たジャーナリストだけ。もう一生入ることができないかも、と思っていたところ、Sulafaのブランディングのために国連の許可を得て、16年ぶりにガザに再訪することができました。
これもクラウドファンディング「READYFOR」にて協力下さいました150人のサポーターさま、そしてこれまでアマルを応援くださいましたみなさまのおかげです。本当にありがとうございます!
これからも販売を通して、パレスチナの伝統や文化をお伝えし、作り手の営みを守り続けていけるよう尽力いたします。そして刺繍に映し出された彼女たちのスピリットをお届けできればと思います。
それは、どのような状況でも明るくタフでたおやかな「希望(アマル)」の美しさです
We show Palestinian tradition and culture through our sales and strive to keep the works of women continuing.